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文書作成日:2024/03/14
退職後の健康保険の選択肢

坂本工業では、3月末で退職となる従業員がいる。従業員から、退職後に加入する健康保険について教えて欲しいという相談があったことから、社労士に確認することにした。

 こんにちは。今月末で退職する従業員がおり、その従業員から退職後に加入する健康保険について教えて欲しいと言われました。来週、説明するため、退職後の健康保険について教えてください。

 わかりました。退職後の健康保険ですが、大きく分けて以下の3つの選択肢があります。

  1. 国民健康保険に加入する
  2. 健康保険の任意継続をする
  3. 家族の健康保険に加入する(被扶養者となる)

 退職する従業員やその家族の状況によって加入できる制度が異なり、また、加入する制度によって負担する保険料の額に違いがあります。

 なるほど。家族の状況も関係してくるのですね。

 まずは、一つ目の国民健康保険から説明しましょう。国民健康保険は、市区町村が保険者となり、他の医療保険制度に加入しない人が加入する制度です。保険料は、加入する世帯の人数や前年の所得などによって決まります。退職する従業員の居住地の市区町村によって、保険料の算定方法が異なるため、会社として一概に保険料額を示すことはできません。

 過去に、保険料がいくらになるのか質問されたことがありましたが、その際も退職する従業員の居住地の市区町村役場に相談するようにアドバイスしました。

 そうですね。次に、二つ目の健康保険の任意継続は、在職中に加入していた健康保険に、任意継続被保険者として引き続き加入する制度です。任意継続被保険者となるためには、退職日(資格喪失日の前日)までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あることが必要で、退職する従業員の居住地を管轄する協会けんぽの支部に、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。

 退職日の翌日から20日以内という期限があることを従業員にしっかり伝えることが重要ですね。

 任意継続した場合に負担する健康保険料は、在職時に従業員が負担していた健康保険料の2倍の額になります。ただし、上限額が設けられており、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料になります(2024年3月時点)。

 在職中は、会社と従業員が健康保険料を折半しますが、任意継続の場合は会社負担がなくなるため、保険料が2倍になるのですね。

 退職する従業員に被扶養者がいた場合、この被扶養者も、任意継続被保険者の被扶養者として加入することはできるのでしょうか?

 はい、被扶養者であった家族も、任意継続の認定を受けることで、任意継続被保険者の被扶養者として加入できます。ちなみに被扶養者の分の健康保険料はかかりません。
 三つ目の家族の健康保険に加入するというのは、家族が勤務先で社会保険に加入しており、その家族の被扶養者としての認定要件を満たしたときに、加入できる制度です。被扶養者のため、家族が負担する健康保険料は増えず、また、退職者本人の保険料負担もありません。

 退職する従業員や家族の状況によって、選択肢は変わってくるのですね。また分からないことが出てきましたら、教えてください。

>>次回に続く



 退職する従業員が20歳以上60歳未満の場合は、国民年金の手続きがあります。会社を退職した後は、国民年金第1号となり、その切り替えの手続きが必要です。一方、配偶者が勤務先で社会保険に加入しており、配偶者の被扶養者になる場合は、国民年金第3号被保険者になるための切り替えの手続きを、配偶者を通じて、配偶者の家族に行ってもらうことになります。
 また、退職する従業員に扶養されていた配偶者については、退職と同時に国民年金第3号被保険者ではなくなるため、国民年金第1号被保険者への切り替え手続きが必要になります。状況によって手続きが異なるため、内容を整理しておきましょう。

■参考リンク
協会けんぽ「退職後の健康保険加入のご案内
日本年金機構「会社を退職した時の国民年金の手続き

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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